無垢の野菜に合わせるとお酒の味もクリアに
野菜の目利きとして知られる「築地御厨(みくり)や」の内田悟さん。レストラン専門の青果卸店を営みながら、一般の人にもっと野菜を知ってもらいたいと「やさい塾」を開いています。
私は内田さんの本の編集を2冊手伝いましたが、まさに目からウロコ。さらに感激したのはその料理のおいしさと独自性。元フレンチのシェフだけあって、店のまかないも作り、それがまたシンプルでおいしいのです。
内田さんがにんじんを丸ごとゆでたのには驚きました。コトコトゆでて20〜25分。その甘さといったら! 香りも滅法強い。食べ比べると、切ってゆでたにんじんが水っぽくて味がないと感じるほどです。
丸ゆで信奉者となった私は塩胡椒でステーキのごとく食べるし、ごま和えだって砂糖なし。野菜に力があれば調味料はミニマムで十分。
無垢の野菜に合わせるとお酒の味もクリアに感じます。なれば、いただきものの秘蔵品〈百年の孤独〉を開けるといたしましょう。
一度食べればやみつき! おつまみレシピ
調理時間 25分/難易度 ★☆☆
実験でもいいので作ってほしい、目からウロコなおつまみ。青森の越冬にんじんで作ったら……感動モノ。これで作った、にんじんだけの白和え……感涙モノです
《材料(2人分)》
にんじん…2本
塩・黒胡椒…各適量
※5~6月に出回る新にんじんは不向き。
《作り方》
(1) にんじんはよく洗って鍋に入れ、かぶるくらいの水を注ぎ、中火にかける。
(2) 沸騰しそうになったら、コトコト沸く火加減に落とし、蓋をずらしてかける。太いところに竹串が刺さるまで20~25分ゆでる。
(3) 縦割りにして器に盛り、ひきたての塩と黒胡椒をかける。
※3~4本まとめてゆでても時間はほぼ同じです。皮が気になる方は、ゆでた後に手でむけます。