実際には……
実際にはどうかというと、2025年の情報として、先進国における認知症の人の数は減っています。日本も例外ではなく、65歳以上の高齢者における認知症有病率は、2012年から2022年の10年間で約3パーセント低下しました。
その理由としては、医学の進歩により血圧やコレステロールといった心血管疾患の危険因子の制御が改善され、それにともなって脳梗塞や脳出血などの脳血管障害と密接な関係にある認知症の発症率も低下したのではないかという仮説が優勢です。また認知症における啓蒙活動が盛んに行われるようになり、禁煙する、アルコールを控える、食生活を整える、運動をする、睡眠時間を十分に確保するといった生活習慣の改善も、認知症の発症率を下げているのではないかと考えられています。
しかし問題は認知症グレーゾーンの人たちで、こちらのほうは増え続けているのです。
中でも深刻なのは、自分の認知状態をただの老化現象だろうと軽く考えたり、認知症であると診断されることが怖くて診断を避けている「隠れ認知症グレーゾーン」の人たちです。潜伏しているわけですから正確な人数を把握することはできませんが、500万人くらいいるのではないかと考えられています。
〈『認知症グレーゾーンは分かれ道』より〉
