アルツハイマー病は20年かけて進行する

隠れ認知症グレーゾーンの人が必ずしも認知症になるというわけではないという一方で、進行が早く認知症まっしぐらという人もいます。しかしどういう人がグレーゾーンで踏みとどまり、どういう人が認知症へ移行してしまうのかについての明確な答えは、遺伝子や年齢などあらがえないものについてはあります。また運動や食生活など自分で実行できる方法に関しては、乏しいながらも段々と知られつつあります。にも関わらず認知症に関する知識を備えている人は、まだ少ないというのが私の実感です。

いずれにせよ「認知症になったらどうしよう」と怯えるばかりでは埒が明きません。認知症を予防するためには、認知症に関する知識を備えておく必要があるのです。そこで基本的なことをあなたにお伝えしておきたいと思います。

認知症という言葉の定義は「認知機能の障害により、生活に支障を起こすようになった状態」というもの。このことからもわかるように、認知症というのは記憶や思考などの認知機能が低下する症状や状態の総称です。

私が学生の頃には「痴呆症」と呼ばれていましたが、「痴呆」という言葉には「頭が悪い」といった侮蔑的なニュアンスが感じられるため、厚生労働省が中心となって「認知症」という言葉に変更されました。着実に人々の中に浸透していきました。未だに認知症が、いきなり発症するものと誤解されがちですが、いきなり認知症になる人はいません。認知症は病名ではなく、脳の神経細胞の働きが徐々に変化し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態を総合した用語です。