エピジェネティックとは
エピジェネティックとは、遺伝子の塩基配列が変化することなく、その発現を調節することです。遺伝子は4種類の塩基が連なって構成されていますが、この配列は両親の遺伝子から受け継いだ遺伝情報で、出生後、変わることは基本的にありません。遺伝子の塩基配列をもとに転写、翻訳の過程を経てタンパク質を作り、これが容姿や体の働き、性格の形成に影響します。
しかし、エピジェネティックが起こると、転写、翻訳のスピードが変化し、作られるタンパク質の量が変わることがあります。そして、エピジェネティックの一つが、遺伝子にメチル基という物質を結合させるメチル化です。一旦その印がつくと、時間が経っても簡単に外れることがありません。
筋トレを行うと、遺伝子の特定の場所がメチル化され、筋肉を肥大化させるタンパク質が作られやすい環境ができます。ここでもし筋トレを中止しても、メチル化の印は外れることなく残るので、再開したときにタンパク質が効率的に作られるようになるのです。
つまり、マッスルメモリーのある人は、生涯にわたってアドバンテージを得ることができます。若いうちに、一度がんばって筋肉をつけておけば、高齢になってから、それほど努力せずに筋肉をつける、あるいは取り戻せることも期待できるのです。
※本稿は、『筋肉はすごい-健康長寿を支えるマイオカイン』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『筋肉はすごい-健康長寿を支えるマイオカイン』(著:青井渉/中央公論新社)
健康意識の高まりとともに筋肉への注目が集まっている。
本書は人間にとって筋肉がいかに重要か、医学、栄養学、スポーツ科学の見地から解説する。




