ドラマには人を支える力がある

残間 私はドラマって登場人物のセリフ一つがすごく心に響いて、時には人生観を変えてしまうような力があると思うんです。

中園 実は私自身がドラマに支えられた経験がありまして。私は10歳で父を亡くし、19歳で母が他界してしまい、どちらのことも大好きでしたが、特に母が亡くなった頃の衝撃が強かった。

当時、日本大学芸術学部に通っていたんですけど、その頃のことってあまり記憶にないんです。のちに精神科医の先生に訊いたら、人は耐えられないような辛いことがあると、自分の心を守るために記憶を消してしまうことがあるということでした。ところがその頃に家で観ていた山田太一さんや向田邦子さんや倉本聰さんが脚本を手掛けられたドラマのセリフだけは鮮明に覚えているんです。

イメージ(写真提供:Photo AC)

残間 へぇ。そのことをどう分析しているんですか?

中園 現実が受け入れられず、ドラマの中の世界に没頭することを命綱に2年間くらい生きていたんだなと。その経験もあって脚本家になりました。ドラマには人を支える力があると信じているし、セリフを作る脚本家は責任重大だと肝に銘じて仕事と向き合っています。

残間 大石さんもセリフに命をかけているとおっしゃっていますよね。

大石 もちろん展開を考えるのも難しいのですが、そこはプロデュ―サーや監督も力を貸してくれます。ただセリフは私だけの表現で、私がはっきりと出ると思います。1時間のドラマの中に1個でも、私らしい、私しか書けないセリフがなければならないと思ってやっています。