かれこれ1時間半……
娘が泣き始めて、かれこれ1時間半。どうすればいいのかまったくわからず、娘より私のほうが号泣したい気持ちになって、完全なるパニック状態に陥り、育児を始めて90分で(このままでは育児うつになってしまう)と、最終ステージに突入してしまった。
いかんいかん、ここは一度冷静になるために、隣の部屋に行って頭を冷やそうと、私は娘を床に敷いた布団にそっと横たえ、クールダウンすべく隣の部屋に移動した。すると―─なんと、娘はピタリと泣きやんだではないか。寝ついたのか、と思い、娘のいる部屋に戻ると、また大声で泣き始める。まさか、と思い、もう一度隣の部屋に戻ると、ピタリと泣きやむ。
そう、娘は、1時間半私に対して泣いていたのだ! 要するに、娘からしたら私は、一度も面倒を見てもらったことのない、赤の他人だったのである。
半年間、まったく育児をしなかったことを猛省し、悔い改めつつも、娘が一番過ごしやすい環境を提供するために、私はそのまま隣の部屋で、家内が帰ってくるまで読書をして過ごした。その半年で一番読書が捗った日になった。
※本稿は、『経験 この10年くらいのこと』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。
『経験 この10年くらいのこと』(著:上田晋也/ポプラ社)
くりぃむしちゅー上田晋也さんが40代の頃を振り返った、初の書き下ろしエッセイ。
「桃太郎」「浦島太郎」「鶴の恩返し」の昔話にも、突っ込み!
亀梨和也さんとの特別対談も収録!





