僕が使っているサクソフォーンは、ゴールドプレートという特別な造りで、重さが2.5キロくらいあるんです。昔はもっと軽い楽器を使っていたんですけどね。
67年に、国内ツアーの途中でタクシーの追突事故にあって、楽器のネックが曲がっちゃった。タクシー会社が弁償してくれるというのでヤマハに行ったら、ゴールドプレートのサクソフォーンがあって。一緒にいた先輩ピアニストから、「もらえるんだから、高いのにしておけ」とそそのかされた。(笑)
ところが、それからが大変でね。シルバーのプレートをボディにして、その上にゴールドを乗せているので、メタルが分厚くてボディが振動しないんです。吹くのがしんどいし、最初のうちは納得のいく音が出なくてずいぶん苦労しました。そのうちゴールドプレートの音が好きになり、元のサックスには戻れなくなって――今使っているのは確か8代目です。
そんな楽器を使って演奏しているから、自然と肺が鍛えられるんでしょうね。44歳時の肺活量が6000ccあり、水泳選手並みだと言われました。その時は計測器の針が振り切れたので、本当の肺活量はわからなかったんです(笑)。
今はかなり減って3300ccくらいしかありませんが、92歳の今も健康でいられるのは、ずっと楽器を吹いているからだと思います。