「少年時代の主人公が、ニューオーリンズでデキシーランドジャズを演奏している黒人に交じって、カッコいいクラリネットを吹いている。それを見て、すっかりその少年に憧れてね」

進駐軍放送でアメリカの音楽と出合う

生まれたのは1933年。少年時代は、軍国主義のまっただ中でした。聞こえてくるのは「予科練の歌」などの軍歌か、日本の歌謡曲。高校の試験問題に「特攻精神とはなにか」なんて問題が出る時代でした。

「勇往邁進」と叱咤激励され、木の棒を持って行進させられて。終戦まで授業はなく、栃木県鹿沼近くの山で松根(しょうこん)掘りばかりしていました。なんでも松の根からとった油を飛行機の燃料に使うとか。

でも育ち盛りですから、とにかく飢えているでしょう。松根掘りをするふりをして山芋を掘って、川で洗って食べていました。

戦争が終わると、宇都宮に進駐軍がやってきて。戦車を先頭に背の高いアメリカのGIが隊列を組み、歩幅を揃えてカッカッカッと歩いているのを見て圧倒されてねぇ。とにかくカッコよくて、正直、日本の兵隊さんとはぜんぜん違いました。