「ライブがないと体もなまってしまいますから、朝夕は散歩に出かけ、公園に行って雲梯にぶらさがったり、体操をしたりしています」(撮影:馬場わかな)
〈発売中の『婦人公論』2月号から記事を先出し!〉
戦後まもなくジャズに出合い、サックス奏者として常に第一線を走ってきた、《ナベサダ》こと渡辺貞夫さん。92歳の今も、圧倒的なライブ演奏や、新譜の発表を精力的に続けています。音楽への情熱、そして驚異的な体力の秘密は……(構成:篠藤ゆり 撮影:馬場わかな)

もっとステージで演奏したい

2026年はデビュー75周年ということで、いろいろな人からどんな気持ちかと聞かれますが、僕のなかではなにも変わっていないです。まぁ、若い頃は、まさか自分が90過ぎても演奏しているとは想像もしていませんでしたけどね。

26年1~3月は全国16ヵ所で大きなコンサートやライブを予定しているものの、自分としてはぜんぜん足りない。僕はステージで生きているので、もっと演奏したいんです。

一番忙しかった1980年代は、オフの日が年に2日くらい。演奏以外にも、テレビ番組の取材でアフリカやチベットに行ったりもしました。その頃に比べたら、暇なものです。(笑)

若い頃は寝る間も惜しんで一日中練習していましたが、今は家にいる時は、2時間くらい楽器につきあってもらう程度。ライブがないと体もなまってしまいますから、朝夕は散歩に出かけ、公園に行って雲梯(うんてい)にぶらさがったり、体操をしたりしています。

サクソフォーンという楽器は、マウスピースに葦でできたリードをつけるんですが、気に入ったリードを探し出すのに毎日1時間くらいかかるんです。若い頃は自分で切ったり削ったりしていましたけど、さすがに最近はそんな余裕がありませんので、既製品のなかから探しています。