高校卒業後音楽のために上京

それからしばらくして、宇都宮に映画のアトラクションのためのバンドが来て。そこで見た、金色で、管がグッと曲がった楽器が非常にカッコいい。また、ソニア・ヘニーが主演した『銀盤の女王』という映画に出てくるウディ・ハーマン楽団のサックスソリ(合奏)に憧れました。これがサクソフォーンとの出合いです。

当時、一回り年上の従兄が東京・新橋の「フロリダ」というダンスホールで働いていて、そこで「ブルーコーツオーケストラ」というビッグバンドが演奏していました。よみうりホールで開催されるジャズコンサートのあと、「フロリダ」に行って生演奏を見たら、もう、サックスがほしくてたまらなくなって。

親父はモーターやトランスの修理業をやっていたので、工場ではクズ電線がたくさん出る。ちょうど朝鮮戦争の特需で、クズ電線も高く売れたんですね。1キロ300円。時々、2階の押し入れの親父のカバンから、お金が束になっていない時、いただいていました。

ある日、押し入れを覗いていたら、親父が後ろから「貞夫、おまえ、なにやってんだ?」。咄嗟に「ちゃんとあるか数えてました」なんて言い訳したりしてね。(笑)

でも、正直にサックスがほしいと言ったら、僕を東京に連れていって買ってくれたんです。実は親父は、もともとは琵琶奏者でした。自分もミュージシャンだったから、僕が音楽をやることに理解があったんですね。

高校を卒業する時、音楽が好きでたまらないから2年だけ東京で好きなことをやらせてくれと言ったところ、許してくれた。そこから、僕のミュージシャン人生が始まったわけです。

昼間はダンスホールで、夜はキャバレーで演奏するようになり、未成年なのにけっこう稼いでいましたよ。そのうち、厚木や立川の米軍キャンプを回って演奏するようにもなりました。

後編につづく

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