「決して驕ってはいけない」

若手に歌舞伎を継承していくことも、長くこの世界にいる人間の責務だと思っています。

特別になにかを伝えるということではなく、一緒にお稽古をしたり、一緒に舞台に立つことが、なによりも大事ではないか、と考えていますし、そのなかで自然と伝わっていくものだと思っています。

若い人が苦しみながら大役に取り組んでいるとき、私はどうするかというと、黙って見守っています。公演期間中、彼がどうやって体調を維持するか、毎月どのようにして大役をこなしていくかは、自分自身で理解して解決していくべき課題ですから。

ただ、「困ったことがあったら、いつでも言ってくれていいから」とみなさんに伝えています。逆に、「困ったことがある」と言ってくれない人に、こちらからなにか伝えても、きっと聞こえないと思うのです。