お金にならない標本の維持

そんな世の中ですから、僕が死んだ後に、お金にならない標本をどうやって維持していけばよいのでしょうか。

結局、遺族が始末に困ることになるでしょう。故人の蒐集家の標本は、オークションに出品されることがありますが、それも公共性という意味では、放っておくのと変わりません。誰かに託せばよいと言う人もいますが、迷惑なだけでしょう。標本を保存するとなると、お金のない人にはできません。

博物館に寄贈するにしても、僕が持っている大量のゾウムシの標本なんて、寄贈されたほうが困るのではないかと思います。

※本稿は、『病気と折り合う芸がいる』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。

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病気と折り合う芸がいる』(著:養老孟司、中川恵一/エクスナレッジ)

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