疲れている理由(3) 常態化する「マルチタスク」
ビジネスパーソンが脳疲労に陥る三つ目の要因は「マルチタスク」です。
私たちの脳は、いくつもの仕事を同時並行でこなすことが苦手です。原則として、脳は目の前の一つの物事にしか集中できないように設計されています。二つ以上の案件を同時並行でこなそうとすると、脳疲労を起こしてしまい、仕事の能率が悪くなるだけでなく、「うっかりミス」を起こしやすくなるのです。
例えば、プレゼン資料の作成に追われて焦っているときに、同僚から突然大事な話を持ちかけられても、同僚の話の内容は頭に入ってきませんよね。また、仕事でトラブルが発生している最中に、別の仕事の資料を作成していても、トラブルの状況に気を取られて資料作成が疎(おろそ)かになってしまうことは、想像に難くありません。
実際、私の「もの忘れ外来」を受診されるビジネスパーソンの多くは、日々マルチタスクに振り回されている方ばかりです。
朝から晩まであっちの問題、こっちの問題に駆けずり回り、スケジュールは連日パンパン。常に五つも六つもの仕事に頭を悩ませているようです。
しかも、そういう「がんばり屋さん」に限って、仕事の合間の息抜きにまでスマホを触ってしまう傾向が見られます。その結果、運動不足や睡眠不足も重なり、脳疲労はさらに加速してしまいます。
このように、現代の働き盛りの世代が抱える脳疲労の背景には、「睡眠負債」や「スマホによる情報過多と時間の浪費」、そして「マルチタスクによる脳への過度な負荷」という、現代の日常に深く根ざした要因が複雑に絡み合っているのです。
※本稿は、『10万人の脳を診てきた脳神経外科医が教える 脳を休めて整える習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
『10万人の脳を診てきた脳神経外科医が教える 脳を休めて整える習慣』(著:奥村歩/三笠書房)
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