今年のテーマは
色の組み合わせ、素材、サイズ感。この3つさえ間違えず、加えてつなぎ服を整えれば、手持ちの休眠服も一気に日の目をみるやもしれず。閃きは熱いうちに行動に移せとばかり、私は街に出た。すかさずオフホワイト、ブラウン、ブラック、ネイビー、バーガンディ、ベージュのつなぎ服(極薄手)を入手。最初から買いすぎだ。
帰宅して、手持ちの服と合わせてみる。うむ、やはり先述の3点さえ間違わなければ、なかなかに好ましいスタイリングが叶うではないか。私は心に決めた。今日以降、今年の冬は同じ格好を二度としないと。
以来、毎日出掛けるまえに姿見に映った自分の写真を撮影している。2週間は経過しただろうか、いまのところ、同じスタイリングはせずに済んでいる。去年までは、気づけば同じ服ばかり着ていたというのに。素敵な格好だと褒められることもグンと増えた。
観察、整備、模倣。そしてなにより大切なのは可視化だと痛感した。なにを持っていて、なにがないか。クローゼットからすべてを出して仕分けしたとき、己の記憶と現実にかなり乖離があることがわかった。やはり50歳を過ぎたら記憶などほとんど頼りにならない。そうだ、今年のテーマは持ち物の可視化にしよう。会えるうちに会っておけば……、元気なうちにやっておけば……、とのちのち悔やまぬよう、交友関係、仕事、欲望も可視化できたらなお良し。
限られた時間のなかで優先順位をつけるのが至難の業ではあるが、試してみる価値はある。ありがたいことに今年も多忙を極めることになりそうなので、放っておくとバタバタしつつ漫然と1年が過ぎていってしまうから。
次に手を付けるのはメイク用品。古くなって乾ききったマスカラが、5本は出てくるに違いない。
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きのうまでの「普通」を急にアップデートするのは難しいし、ポンコツなわれわれはどうしたって失敗もする。変わらぬ偏見にゲンナリすることも、無力感にさいなまれる夜もあるけれど、「まあ、いいか」と思える強さも身についた。明日の私に勇気をくれる、ごほうびエッセイ。






