(写真提供:河合さん)
新聞社で文芸やジェンダー問題などを取材してきたという河合真美江さん。60歳の夫にがんで先立たれた悲しみから、大切な人を亡くした人に、その後どう生きているのかを語ってもらう「喪の旅」という連載を始めたと語ります。その連載と、自身の夫を看取るまでの体験を綴った著書『喪の旅 愛しい人に出会い直す』で、河合さんが感じたこととは――。(構成:吉川明子)

悲しみを抱えて、一歩を踏み出す

2020年10月、夫が60歳でこの世を去りました。私も夫も新聞記者で、別居婚からスタートし、一緒に暮らしたのは娘が生まれてから。夫からがんの一報を受けた時、私は金沢に単身赴任中でした。

夫の闘病生活が始まったことで、介護休業を取得して自宅に戻ることに。けれど、わずか1年あまりで、夫は逝ってしまいました。「私は何の力にもなれなかった」と、悲しみと後悔ばかりが募るなか、同じく夫に先立たれたいとこに「まみえちゃんはお仕事のなかでできることがあるでしょ」と言われて。

さらに、同時期に尊敬する詩人から、「死から花を咲かせてね」と諭してもらい、私にできることは取材して書き、伝えることしかないという思いに至りました。

葬儀の約1ヵ月後には会社に復職。大切な人を亡くした人に、その後どう生きているのかを語ってもらう「喪の旅」という連載を始めたのです。4年あまりで数十人の話をお聞きし、読者から約500通のお便りが届きました。「聞いてくれるだけでいい」と、お電話で直接話した方も何人もいらっしゃいます。

この一冊は連載に加えて、私自身の体験を書き下ろすことに。夫を看取るまでを書くにあたり、闘病の様子を書き留めた6冊のノートを開き、最期まで生きたいと願い続けた彼の思いを辿る旅に出たのです。