説得に応じない小六に、秀長が口添えを……

しかし小六は、「2000人の川並衆の命と、その家族の命運がかかっている。我らは信長様の家来ではないのだから、せっかくだがお断りする」と、秀吉の説得に応じませんでした。

すると、秀吉の傍らに控えていた秀長が口を開きました。

『図解 豊臣秀長』(監修:本郷和人/興陽館)

「墨俣築城が首尾よくいかなければ、兄も私も命はないものと覚悟しています。また、我ら兄弟がこれまで武功を挙げることができたのは、ひとえに川並衆のおかげです。私など、5年ほど前に兄に従って鍬を槍に持ち替えましたが、田畑で一生を終えていれば小六殿にお会いすることもなかったでしょう。川並衆は誰の家来にもならず、己の志を通される方々ということは承知しています。兄・秀吉一人の出世や栄達を望んでのことではありません。信長様の美濃平定は、乱世を治め天下泰平を得るための足がかりなのです。そのためにこそ、我らは命をなげうつ覚悟です。ぜひともご助力をお願いいたします」

と口添えしたのです。