スパゲッティ・カルボナーラ

代表的なローマ料理と言えば、プリモ・ピアット(第一の皿)のスパゲッティ・カルボナーラを挙げる人が多い。しかし、その歴史は意外と新しい。

第二次世界大戦時、ラツィオ、モリーゼ、カンパーニャ州の間にあるラインハルト線で交戦中の連合軍アメリカ兵士が、アドリア海とアペニン山脈間にあるアブルッツォの名物料理であるカーチョ・エ・オーヴァ・パスタを味わったことに始まる。

『イタリア食紀行-南北1200キロの農山漁村と郷土料理』(著:大石尚子/中央公論新社)

伝承によると、故郷の味を再現するために、アメリカ兵士は地元のレシピにグアンチャーレ(豚の頬肉。アメリカのベーコンに似ている)を加えたという。この珍味の香りがローマ人の鼻孔を酔わせ、レシピとして定着したのである。

イタリアでは、ピッツェリア(ピザ店)やレストランで、給仕にタバスコはないかと尋ねると、あからさまに嫌な顔をされる。イタリア人は、アメリカ的なものを毛嫌いするところがあるが、カルボナーラのレシピは、アメリカ人に縁があることをほとんどのローマ人は知らない。