下町文化あふれるトラステヴェレ

下町で発達した庶民料理にも、ローマを特徴付ける料理がある。ローマ中心部からテヴェレ川を挟んだトラステヴェレは、人情味あふれる下町の面影が漂う観光地になっていて、独特な食文化がある。その独自性もまた、ローマ時代に遡る。

「トラス」は「越えて」を意味し、この地区は「テヴェレ川を挟んで向こう側」である。ローマは、トラステヴェレ以外は、大方、テヴェレ川の東側に広がる。トラステヴェレは、ローマとは別の地区で、そこに暮らす人々を蔑む意味合いも含まれていた。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

共和政ローマ時代、この地区にはエトルリア人やユダヤ人などの外国人、それに下層職人、肉体労働者、キリスト教徒など、いずれも当時社会から疎外されていた人々が集住していた。

この地区は、道が狭く、途中で途切れて行き止まりになっていたりして、迷路のようである。都市計画の不在がすぐにわかる。実際、ローマ時代以降は統制が行き届かず無法地帯と化していたという。第二次大戦後に、農村から流入してきた労働者が住み着き、下町文化が形成された。