現場に集中する過度のプレッシャー
当時、GoToトラベル事業は、海外旅行や訪日客の需要が蒸発したHISにとって、数少ない残された収益源となっていた。そのため営業現場には、「とにかく数字を作れ」という強い業績目標が課され、現場には過度なプレッシャーが集中していた。
実際、ある社員は「誰も『これをやれ』とは言わなかったが、やれば褒められる。やらなければ怒られる」と証言しており、現場では制度の趣旨よりも目標達成が評価される空気が支配的だった。結果として、「とにかく予約を取れ」「枠を押さえろ」といった短絡的な指示が横行し、やがて不正へとつながった。
不正が発覚したのは、GoToトラベル事務局が給付データを監視するなかで、同一顧客による大量予約や、宿泊実績の不自然なパターンを検知したことがきっかけだった。
調査の結果、HIS子会社による不正受給の総額は1億円超にのぼり、数名の社員が懲戒処分を受け、関係子会社幹部も引責退任した。
