「僕が実体験を公表したところ、仕事などにも影響があり、認知症に対するマイナスイメージの大きさに驚きました」(撮影:宮崎貢司)
ドラマ『白い巨塔』や舞台『放浪記』など、数々の名作に出演してきた俳優の山本學さんは、今年89歳。4年前に軽度認知障害(MCI)と診断されてから、生活習慣の改善や運動療法に取り組んできたといいます。18年前に妻を亡くして以来、一人暮らし。生活には、どのような変化があったのでしょうか。(構成:菊池亜希子 撮影:宮崎貢司)

あの日から、不安と恐怖を感じている

僕は軽度認知障害と診断されたことを公表していますが、近ごろの、認知症に対する世間の思いやりのなさに少し憤っています。

軽度でも認知症と診断されると、本人は日々、不安なのです。いつ症状が進んでしまうのか、今後自分はどうなるのか……という恐怖もある。

僕が実体験を公表したところ、仕事などにも影響があり、認知症に対するマイナスイメージの大きさに驚きました。

そもそも認知症は脳の機能障害のひとつ。病気というより老化の一種だと感じています。というのも、以前胃がんと前立腺がんを経験したとき、がんの診断書には「悪性腫瘍」と明記されましたが、認知症の診断書には「軽度認知障害と思われる」と書かれていたんです。

つまり、医師にもはっきりとは言いきれない「状態」を表しているのではないか、と。それでも自分の状況を公表したのは、僕と同じような人が少しでも早く医療に繋がり、対策を始められるよう願っているから。