東京はすでにクマに囲まれている
航空写真で俯瞰すればわかるが、関東平野の周りを山林が取り囲んでいる。現在のクマの分布と重ねると、千葉県と茨城県を除く関東平野を取り囲む山林とクマの分布は見事に一致している。すでに、首都圏の私たちはクマに取り囲まれている。
さらに、札幌や富山をはじめとする市街地へのクマの出没の過程を見ると、クマは本来生息する山間部から線上に延びた河川敷や河岸段丘をつたって移動することで、本来の生息地から遠く離れた市街地の真ん中に突如として姿を現す。こういった事例からクマは自分の身が隠せる背丈ほどの雑草や灌木などがある場所で、それが連続している状態なら、抵抗なくその中を移動することができる動物であることがわかる。
東京の航空写真(図)を見ると、クマの生息地である東京西部から関東平野に向かい、河川が縦横に流れ、丘陵がつながっているような地形となっている。
近年は治水事業の効果もあり、大雨時に以前のような河川敷いっぱいに濁流が流れるといった機会も減ってきた。そのため、河川敷の中には、以前のような砂利の河川敷ではなく、もはや樹林化した河川敷も珍しくない。
そのため、こういった河川敷はクマからすると、本来の生息地である奥多摩のような山間部の森林から線上につながった細長い森林でしかなく、日常の活動として森の中をただ探索しているうちに、細長い森林に入り込んでしまうことは十分にあり得る。そして、廊下のような細長い森林を進むうちに、気付いたら本来の生息場所から遠く離れた場所に移動することができてしまうわけだ。