首都圏の人口密集地や市街地であっても……
都市部だからといって何の対策もしなければ、活動的で、好奇心が旺盛な若いオスのクマが、例えば多摩川の河川敷をたどり、そのまま下流へ移動して行くことは十分に考えられる。
クマが普通に移動できる数十kmの距離を首都圏でいえば、現在の東京都のクマの分布の最東端の一つである青梅市や日の出町周辺、高尾山のクマは、河川敷沿いに立川市、ひょっとすると府中市や調布市あたりまで移動できる可能性は、十分にあるということだ。その先には世田谷区、大田区が控えている。
実際、青梅市では多摩川の河川敷でのクマの目撃がある。また、何かのきっかけで、周囲から目隠しするように両岸に雑草が生い茂った玉川上水や立川崖線や国分寺崖線といった河岸段丘に形成された線状の緑地に入り込むと、さらに東進できてしまうかもしれない。
青梅周辺から続く加治丘陵、高尾周辺から続く多摩丘陵なども、現在のクマの分布域との間には鉄道や大きな道路などの障壁はあるものの、そこさえ乗り越えてしまえば、その先にはクマが身を隠すことができる森林が存在する。
もちろん、武蔵野の森や新宿区、渋谷区まで人に見つからずに移動できるかどうかというのは難しいところだが、首都圏の人口密集地や市街地であっても河川敷や藪、雑木林などが連続する場所であれば、クマが移動してくることは非現実的なことではない。
※本稿は、『クマは都心に現れるのか?』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
『クマは都心に現れるのか?』(著:小池伸介/扶桑社)
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