25年やっていても自分は無知
それが……信じられないことに2週間続いたのですよ、皆さん。その間、俺は「おばあちゃん」には申しわけなかったけれど、ノズル付き殺虫剤で各鉢植えの土中に毒液を注入しました。鉢のどこかから生まれている可能性が大だったからです。最初の数日はちょっといい話になりかけていた植物生活が、最後にはもはやホラーになっていました。
出た! まただ! なぜ1匹ずつなのだ!
そのわけのわからない「ポルターガイスト昆虫版」がおさまったのが6月最終週だったと思います。相手も根負けしたのか、どこを探しても何もいなくなったのです。正直いなくなってみると、朝の怪現象がないのは寂しいものでもありました。
そして俺は唯一科学的に出来る説明に、その騒動のあとで気づいたのです。どこから生まれていたにせよ、鉢をベランダに置いていた時代にも日々コガネムシは生まれて空へ飛び立っていたのだろう、ということです。それを俺は室内園芸に切り替えるまで知らなかった。25年やっていても自分は無知。
※本稿は、『日日是植物』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
『日日是植物』(著:いとうせいこう/マガジンハウス)
生きとし生けるものが愛おしい!
「ベランダ園芸家」改め「室内園芸家」による、ドラマティック植物生活の記録。





