「お義母さんがかわいそう……」
ケアマネさんはため息まじりに「お会いしたばかりのころの、あの優しいお義父さんがいなくなってしまったみたいですよねえ……」と言っていた。確かに、脳梗塞で3か月入院し、退院したばかりの義父はとても穏やかで、ケアマネさんにも大変丁寧だった。ヘルパーさんの働きに感謝し、買い物支援を喜び、これでどうにか元の生活に戻ることができると希望を抱いていたはずだ。
「最初の頃はすごくうまくいっていたんですけどねえ~。元気になったから、最初の頃の気持ちを忘れちゃったんですかねえ……」と言う私に、ケアマネさんはこう答えた。
「たぶんお義父さん、デイサービスに通ったり、ヘルパーの支援を受けたりすることで、お義母さんの認知症が治るって本気で思っていたんじゃないでしょうか。だって、私には『デイサービスに通っているのに、認知症は治らないやないか!』って、ひどく怒ってましたもん。それから、お義母さんに対する発言が、どんどんきつくなってますよ。あれじゃあ、本当にお義母さんがかわいそうです……」
確かに、その通りだ。デイサービスに通うことで認知症の進行を緩やかにすることは出来ても、治ることは基本的にないのだと何度も説明を繰り返すが、それでも義父は「治る」と信じていたふしがあった。だから彼は苛立ちを募らせたのではないか!? 治ると信じていたのに治らないと気づいた瞬間、義父は我々全員に裏切られたと考えたのでは。だからこそ、介護サービス全体を疑い、毛嫌いするようになってしまった。そうとしか思えない。そして義母に対する態度も徐々に高圧的になってきているのは私も感じている。