あきらめモード
ケアマネさんは私に何度も、「諦めないでくださいね!」と言っていた。なんという読みの鋭いケアマネさんだ、私が85パーセントぐらい諦めていることがすっかりバレている。なにせ、連日、義父によるありとあらゆる妨害工作により、サービスを受けることができない状況になり、ヘルパーステーションやデイサービスから「どうしましょう……」という困惑の電話がかかってくる状況なのだ。もう、やる気ゼロ。申し訳ないが、何をしたらいいかもわからない。
「私は諦めません。お義父さんはまだしも、お義母さんには絶対に支援が必要です。私、こういうパターンは何度も経験しています。このままではお義母さんが針のむしろに座るような暮らしを強いられてしまいます。お義父さんに叱られてばかりの日常は気の毒です」
わかっちゃいるけど……と考えつつ、実家にあまり顔を出すこともなくなった私にケアマネさんが提示してくれた次の一手は「介護メンバーの一部入れ替え」だった。ケアマネさん曰く、一人のヘルパーさんが長く通うことは、メリットもデメリットもあるという。今回のケースでは、ケアマネさんはヘルパーさんの配置換えが流れを変えると読んだようだ。小学校の席替えみたいなものだろうか。私はすぐに、お任せしますと返事をした。これがいい結果を生むといいが、さてどうなるだろう。
ここのところ数週間、義母は少し混乱しているようで、夜になると電話がかかってくるようになった。固定電話が鳴ることもあるし、私の携帯に直接かけてくることも増えた。内容はいつも同じで、私が母の日にプレゼントしたシャツがとても気に入っているということだ。私は義母がお礼を言ってくれるたびに、初めて聞いたかのように対応しているが、いつも決まって受話器の向こうから義父の「もう何度も言ったやろ!」という声が聞こえてきて、心に暗雲がたれこめる。
このままではダメだ。しかし、一体これ以上何をやれるというのだろう。まったく、やるせない。
※本稿は、『義父母の介護』(村井理子)の一部を再編集したものです。
『義父母の介護』(著:村井理子/新潮社)
認知症の義母と90歳の義父。
仕事と家事を抱え、そのケアに奔走……。
ホンネ150%、キレイごとゼロの超リアルな介護奮闘記。





