チームの監督からはつねづね、「瞬発力や体力では若者に負けても、そのぶん頭脳戦で補える」とアドバイスされている。たとえば敵の位置や相手の弱点をチームの仲間に伝え、攻撃の戦略を提案する。そこに必要な語彙力、コミュニケーション能力は、人生経験のあるシニアのほうが確かに長けていそうだ。
「バーチャルな世界とはいえ、誰かと話す機会があるのはありがたいですよ。家族とは最小限の言葉でも通じてしまうけれど(笑)、チームの仲間にはちゃんと通じるように緊張感を持って話すから、それも脳へのいい刺激になると思う」(CaitSithさん)。
「私ももしチームに入っていなければ、もう一つの趣味の編み物を黙々とやっていたか、テレビを見るばかりの毎日になっていたはず」(NAGIさん)。その意味で2人とも、eスポーツは脳の老化防止に役立っていると感じるという。
「私たちみたいな『隠れゲーマー』って、実は世の中にいっぱいいると思うんです。身近にはいなくても、オンラインの世界に趣味や考えの合う友だちが見つかるかもしれませんよ」と2人は背中を押してくれた。
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集まりに参加するために外出の機会が増える。ゲームを楽しむことで心拍数の上昇やストレス軽減につながる。そうしたeスポーツの効能のほかに、取材を通して何より私が実感したのは「コミュニケーションの広がり」だった。
ゆるやかで心地いいつながりが感じられたシニアのeスポーツ。チャンスがあれば自分もという思いを強くした。