(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
「教育は善をなすことが、成功につながる幸せなビジネス」と語るのは、通信制高校・N高等学校の設立メンバーである株式会社ドワンゴ顧問の川上量生さん。N高校は、従来の通信制高校のイメージを覆し、在籍生徒数日本一の通信制高校として海外、東大、芸術系大学など多彩な進学実績を誇っています。そこで今回は、2025年4月に開学したZEN大学の立ち上げにも携わった川上さんの著書『教育ZEN問答-N高をつくった僕らが大学を始める理由』より一部を抜粋・再編集してお届けします。

通信制高校のイメージを変えられる

もともとN高設立というアイディアは、現在校長を務めている奥平博一さんと、それまでさまざまな通信制高校の立ち上げに関わってきた中島武さんが、ドワンゴの取締役(当時)である志倉千代丸さんのところに持ち込んだことがきっかけで立ち上がったものでした。

奥平さんと中島さんによると、通信制高校の生徒たちが抱える大きな問題は、友だちができないことと、通信制高校に通っていることを恥ずかしくて人に言えないことだ、と。そして、そういった子たちの多くがニコニコ動画を見ている。だからこそ、ドワンゴとKADOKAWAが通信制高校をつくれば、彼らが「行きたい」と思える、そして「通っている」と堂々と言える学校になるはずだ、と。

僕はその話に納得しました。たしかに僕らなら、N高をものすごく有益で、かつ魅力ある学校にできる可能性がある。通信制高校のイメージを変えられる自信もありました。

実はニコニコ動画の登場以前は、オタクという言葉はもっと差別的な響きを持っていました。テレビに出てくるイケメンや美女の芸能人が、「自分はオタクなんだ」と公言することはありませんでした。ニコニコ動画の社会的なブームによって、ゲームやアニメなどのサブカルチャーが、堂々と他人に言ってもいい趣味に変わったのです。同じことを通信制高校でもやればいいということです。