自分は両親の実子じゃない
そんな千佐子が面会中に一度、感情をあらわにしたことがある。「育ての両親」のことに話が及んだ時だ。
「私は自分が養女だと知らなかったんですが、ある日突然、産みの親やという人から手紙が届いたんです。それで自分は両親の実子じゃないとわかったんです」
――それで産みの親に会ったんですか?
「育ての親が死んでから会いました。育ての親が生きているうちに、産みの親に会ったりしたら裏切ることになるやないですか」
――産みの親に会ってみて、どうでしたか?
「向こうは喜んでましたね。私はシラけてましたけど」
――やっぱり育ての親のほうが大事なんですか?
「育ての親が大事です。今でも……」