離婚した死刑囚と現在も文通する理由
実は松井の死後、睦子さんは再び山田と文通するようになっている。睦子さんとしては山田がいつか死刑執行されるにしても、自分が奪った生命に向き合ってから執行されて欲しいと思っているためだ。山田の収容先の大阪拘置所も、そんな睦子さんを「再婚の可能性がある人物」と認め、山田との手紙のやりとりを許してくれたという。
「私が手紙に人が死ぬとはどういうことか真剣に考えて欲しいと書いても、浩二は返事の手紙でスルーしてきます。だから、浩二も人の温かさや優しさがわかるように、今は優しい言葉をかけるようにしています。浩二も最近、変わってきていると感じます」
最後に、死刑制度について、どう思っているのかを聞いた。
「死刑に賛成か、反対かといえば、反対ですが、被害者やご遺族の気持ちもあるので、単に反対はしません。死刑囚全員をひとくくりにするのではなく、裁判が終わって10年くらい経ってから、その死刑囚の更生の仕方などによって死刑を執行するかどうかを改めて判断するようにしてもいいのではないかと思います」
※松井は犯行動機について、「仕事探しがうまくいかない中、パチンコで6万円負けてしまった。アパートに帰った際、近所に住んでいた被害者夫婦のうち奥さんから『仕事もしていないのに、(遊んで)いいご身分ね』と言われ、怒りがこみ上げて犯行に及んだ。金目当ての犯行はではない」と主張していた。
※本稿は、『実録 死刑囚26人の素顔』(宝島社)の一部を再編集したものです。
『実録 死刑囚26人の素顔』(著:片岡健/宝島社)
多くの死刑囚を取材し、手紙も交わしてその素顔に迫る、ジャーナリストの片岡健。
その中で、特に印象に残った死刑囚26人の素顔をレポートします。
実際に会って、生の取材をしたからこそわかる、真実の姿です。




