「褒める」の先にあるもの

平井氏は著書『ソニー再生』の中で、世界中の拠点を訪ね歩き、社員の声を直接聞いた経験を語っています。その際に大切にしていたのは「異見を認める」ことでした。

自分と異なる考えや価値観を否定せずに受け入れる。これこそが、多様性の時代に必要なリーダーの資質であり、「褒める」前提になるスキルです。

『できるリーダーはどこを「ほめる」のか? チームが自然と動き出す「戦略的ほめ方」』(著:山本渉/朝日新聞出版)

●否定せず、ポジティブに変換する習慣を持つこと。

●相手のよさを見つける視点を持つこと。

●相手を観察し、関係を深める力を磨くこと。

褒め言葉のレパートリーを覚えるだけではなく、物事の見方を根本的に変えるこのような力こそが、褒めることを通じて養われます。

これらのスキルは、仕事ができるリーダーの必要条件になっているのです。

経営学の大家ピーター・ドラッカーも著書『マネジメント』の中で、ポジティブに承認する効果をこう述べています。

“人は自らを必要とし、価値ある存在と見なしてくれるところで最もよく働く”

もちろん、適当に褒め言葉をかければいいということではありません。周囲への影響力を説いた名著『人を動かす』の中で、デール・カーネギーは次のように書いています。

“人を動かすには、まずその人のよい点を見つけ、それを心から認めることである。”

これらの効果はビジネスに限ったことではありません。育児やプライベートの人間関係でも同じです。教育コンサルタントのドロシー・ロー・ノルト博士はこう唱えています。

“子どもは批判されて育つと、非難することを学ぶ。子どもは認められて育つと、自信を学ぶ”

家庭でもオフィスでも、「褒める」「承認する」は共通の土台なのです。