幸いなことに、その患者さんの手術は不要。救急車は「それっ!」とばかりに走り出し、30分ほどで無事、大学病院の救急外来に到着した。待ち構えていた医師に私を引き渡すやいなや、風のように去って行った救急隊員のお三方。ろくにお礼も言えなかったが、その節は本当に、本当にありがとうございました。
病院ではレントゲンを始めさまざまな検査をしたが、どこへ行っても「えっ、階段を2~3段踏み外しただけ? これは交通事故レベルの重傷ですよ。一体どんな転び方をしたんですか!?」「ど、どんなと言われても、普通に……」という会話になり、赤面。
2年前に測った骨密度はごく平均的な数値だったのに、まさか自分が高齢の親に先んじて、骨折の憂き目にあうとは夢にも思わなかった。
神奈川県の自宅から、着替えと洗面セットを抱えて駆けつけてくれた夫とともに説明を受け、深夜12時頃から手術がスタート。明け方に病室に戻った際にも夫と言葉を交わしたらしいが、麻酔でぼんやりしていたせいで覚えていない。
左脚の骨は2本折れており、チタンとボルトで補強したという。さらに私の場合、患部に皮膚を移植する手術をする必要があるため、退院は1ヵ月以上先になるとのこと。長い長い入院生活の始まりだった。