現象は「ビフォー・ジャスティン」から始まった
2017年3月、ピコ太郎が行った初の武道館公演にも足を運んだ。
そこで最も印象的だったのは、「PPAP」をメタルやバラードなど様々なバージョンでカバーし現象を世界中に広げた海外ユーチューバーをゲストに招いた場面だった。
彼らにピコ太郎が「いつ頃に動画を見てカバーしようと思ったか?」と問いかける。「ビフォー・ジャスティン? アフター・ジャスティン?」と問うと、全員が「ビフォー・ジャスティン」と答えていた。つまり、ジャスティン・ビーバーがSNSで紹介する以前に、世界中に二次創作の輪が広がっていたわけである。
そのことの意味も今ならわかる。「PPAP」はまさしく「バイラルヒット」の先駆けだ。
※本稿は、『ヒットの復権』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『ヒットの復権』(著:柴那典/中央公論新社)
なぜ、いま日本の音楽が世界に届くようになったのか?
その背景には、2020年代になって生まれた新たな「ヒットの力学」がありました。
本書はその構造的な変化を、2016年からの10年間を辿りながら解き明かします。




