長井秀和さんと(写真提供:青木さやかさん)

何年経った頃だろう。長井秀和さんがテレビに出なくなり、それを本人がどう思っていたか知らないけれど、久しぶりに中野のロイヤルホストに呼び出してこう言った。

「長井さんいいなあ。逃げなくても仕事減ってきて。どうです?」

「青木、それ私に聞いてるの?」

「そうですよ、出なくなるってラクじゃないですか? どんな感じです?」

「相変わらず狂ってるな、青木は。面白いですよ」

長井さんは私を笑い続けてくれた。

だけど私はもうわかっていた。テレビに出続ける才能は、「面白い」だけではないことを。役割をきっちりとできることや、チームワーク、ほかにもきっといろいろ。その才能は、今なくて、余裕もなくて、ダメになっていく気しかしなくて……。逃げたいけれど、逃げてしまうと仕事ができなくなるのも嫌で、結局、突き進むしかないのだ。今は母ではなく、お世話になっているワタナベエンターテインメントがつけてくれた道筋を。

この仕事が好きだ。素晴らしく魅力的で、多くの方を笑わせることができて、「いい一日だった」とみんなでなれる、この仕事がむちゃくちゃ好きだ。ああいい塩梅になりたい……。

私はドリンクバーを飲みながら、自分が世の中で1番面白いの、と豪語できた、あのアングラの時代に現実逃避したくて、本当に狂いたーい!と願った。

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