ときどき、「Aでがんが治った」とかいう本を見かけることがある。Aには、科学的あるいは医学的に考えてありえないことが書いてあるトンデモ本だ。
Aで治った、あるいは治ったように見えたケースがゼロだとは言わない。しかし、あったとしても奇跡的、あるいは、限りなく頻度が低いケースだから、決して真似をすべきではない。罪深いのは、Aに「免疫療法」とかが入っている場合だ。
師匠である本庶佑先生が開発されたオプジーボのように標準治療として認められている免疫療法ではなく、効果がさだまっていない自由診療の免疫療法は大きな問題だ。名前が同じだけに誤解を招きやすい、というよりも、誤解を期待しているのかもしれない。
そのひどさは『がん「エセ医療」の罠』(文春新書)に詳しいが、規制する法律がないために、モラルに欠ける医師が自己裁量でおこなうような治療がある。高額なだけでなく、効果がないために病状が進行してしまった悲惨なケースが紹介されている。
高額だからとむしろ信じてしまうのかもしれないが、それこそとんでもない話である。命を民間療法のみに委ねるなどもってのほかだ。
知人のひとりが若くして乳がんで亡くなった。1年ほど前まではお元気だったのにと少なからず驚いたのだが、後になって、標準治療を受けずに民間療法を選んだ末だったと聞いた。知っていたら、全力で阻止したのに。