おそらく、しまったと思ってもオープンにされない人が多いだろうから、民間療法を後悔しておられる方の実数はかなりあるのではないだろうか。

ここまで書いても、それでも、将来的に標準治療になるかもしれないではないかと反論する人がおられるだろう。何度も言うが、否定はしない。というよりも、予言者じゃないんだから、科学的にできない。

だが、どのような治療法にも副作用がある。標準治療には厳密な方法によって、メリットとデメリットが慎重に勘案されているが、民間療法にそのようなものはない。効果を信じるよりも、副作用を心配する必要がある。

それ以上に、効果のない民間療法をおこなっている間に病状が進行することを気にすべきだ。

民間療法が後を絶たない理由のひとつが人間の新しいもの好きという性向だとすると、ある程度はやむをえないのかもしれない。

しかし、医療は、技術革新による新製品や斬新なデザインなどとは違って、新しいものが優れているとは限らない。自分の命を委ねるべきは、確固たる医学エビデンスであって、決して新奇性ではないのである。

 

※本稿は、『がんは運である? 自分事として向き合うための手控え帖』(仲野徹:著/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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