2人に1人はがんになると言われる現在。もし、自分や身近な人ががんになったらどうしたらいいのでしょうか。病理学の専門家であり、笑って読める医学書『こわいもの知らずの病理学講義』の著者である仲野徹先生が、がんとの向き合い方をわかりやすく説いた『がんは運である? 自分事として向き合うための手控え帖』より、一部を抜粋して紹介します。
親しい人ががんになった時の「3つのこと」
これまでの自分の経験が、豊富な経験とは言いがたい。しかし、それでも、親しい人ががんになった時に、まわりの人間としてできること、自分事としてとらえてできることは、ざっくり3つにまとめることができそうだ。
第一に、「生きている間に会いに行く」。
YおばちゃんとK先生の時はできたけれど、Aさんの最期間際とTちゃんにはできなかったことだ。ただ、これは、タイミングだけでなく、相手次第といったところもある。
ときどき耳にするのは、衰えた姿を人に見られたくないという考えだ。たしかに、知り合いの頭の中では元気だった頃の姿のままで残りたい、という気持ちはわからないでもない。
しかし、膨大な想い出の中で、最期だけのシーンを覚えているなどということはあまりないのではないかと思うのだが、どうだろう。自分としては、そのようなことはまったくありそうにないが、これだけは人によるとしか言いようがない。
結局のところは、相手が望む間合いを感じ取って行動するということしかなさそうだ。
第二に、「何かを伝えるより、語り合う」。
旧知の友人たちに別れの挨拶をしたというコラムニストの小田嶋隆さんの最期がよくあてはまりそうだ。病状の相談を受けたライターさんもそうだ。同窓会でがんサバイバーがいることを知った妻も、米国のがん患者のためのコミュニティー組織「ギルダズ・クラブ」やがん哲学外来も同じことだろう。
がんをカミングアウトする人が増えて、できるだけフランクに語り合える機会を持てるようになったのはいいことだと思う。もちろん、これも、各個人の考えによるところが大きいし、周囲がきちんと理解することも重要だ。