前に進むための燃料に
私が特に好きだったのは、フランスの詩人ランボオをモチーフにした「ランボオ、あんな男、ちょっといない」というナレーションが入るサントリーのCMである。
このコピーを考えた長沢岳夫が伝説のデザイナー石岡瑛子と組んで生み出した1970年代半ばのパルコの「モデルだって顔だけじゃダメなんだ。」「裸を見るな。裸になれ。」といった一連のポスターは、子供の分際で惚れ惚れしたものだった。言語も表現も自由でのびやかに、人間が人間をもっと堂々と信じていた時代だった。
過去を振り返れば出会える古代ローマもルネサンスも、そしてこうした昭和のCMも、私にとっては前へ進むための大切な燃料なのである。
『歩きながら考える』(著:ヤマザキマリ/中公新書ラクレ)
パンデミック下、日本に長期滞在することになった「旅する漫画家」ヤマザキマリ。思いがけなく移動の自由を奪われた日々の中で思索を重ね、様々な気づきや発見があった。「日本らしさ」とは何か? 倫理の異なる集団同士の争いを回避するためには? そして私たちは、この先行き不透明な世界をどう生きていけば良いのか? 自分の頭で考えるための知恵とユーモアがつまった1冊。たちどまったままではいられない。新たな歩みを始めよう!






