音楽が救いになる

病気を経験して得た収穫のひとつは、病人の気持ちが理解できたことだ。「頑張れ」は禁句だとよくいうが、身をもって経験した。

もうひとつは音楽が救いになる実感を得たことだ。マーラーの交響曲第5番第4楽章アダージェットと、ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調の第2楽章を繰り返し聴いた。

財津和夫
(写真:『大丈夫さ 私の履歴書』より)

マーラーは私にとって健康なときに聴くと苦しくなりそうな曲だが、当時の私の精神を持ち上げてくれた。

元気づけてくれるのではなく、地上から天上へ引き上げてくれるような。ラヴェルは以前から愛聴していたが、ゆったりした気分になる。昼はラヴェル、夜はマーラーの日々だった。