「海の近くで暮らすのはどうかな」

最後には海が見える小さな家で、好きな音楽を聴いて、散歩をして、掃除や洗濯をして、犬や猫と暮らすという夢がある。

ちょっといい食材を調達して、料理は下手だけれども自分の食べる分くらいはなんとか自炊して。玄界灘を見て育ったから、最後は故郷のような風景に焦がれるのだろう。実は既に終の棲家の物色を始めている。

子供の頃から動物は身近にいた。今も犬と猫1匹ずつと暮らしている。世の中は犬派と猫派に分かれているが、私にはどちらも欠かせない。犬が言うことを聞いてくれるのはうれしいが、それだけでは物足りない。猫にはこちらが翻弄される。自由さに憧れる。猫のように生きたい。

妻にはそれとなく、「海の近くで暮らすのはどうかな」などと言って感触を探っている。でも、彼女は私より11歳若く元気なので、隠者のような暮らしには抵抗があるかもしれない。「1人で行って」と言われたらどうしよう。ただ「1人でも」と妻に伝える勇気は、今のところない。

※本稿は、『大丈夫さ 私の履歴書』(日経BP 日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。

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