指が入ってきた。私は思わず身体を震わせた。たった一本指が入ってきただけなのに、はっきりと太さと厚みを感じた。ガン検診の冷たい金属の器具とは違う、熱量のある物体だ。奥まで届いて中をまさぐる。一瞬、おかしな感じがして腰が浮いた。
そして、とうとう霧が先端を当ててぐっと押し込んできた。
ほんのすこしめり込んだだけで、思わず「やめて」と叫びたくなった。霧には言えなかったが、本当に痛かったのだ。こんなの入らない、無理だ、と。
私の性器はとっくに塞がってしまっているのかもしれない。だから、こんなに痛いのだ。そんなことを思うほどだった。
三十年前の夫とのセックスはもっと乱暴だった。暴力があったわけではないが、性急で勢い任せだった。霧は私を気遣っているのがわかるが、それでも三十年ぶりにつながった場所は今にも裂けそうでぎちぎち軋んで悲鳴を上げていた。
霧はすこしずつ進んでくる。そして、とうとう一番奥まで届き、私は霧を受け入れることができた。
やがて、霧が動きはじめた。摩擦のたびに強い痛みが走る。それでも私は足の間から起こる激痛に意識を集中し続けた。身体の中心が内側から無理矢理に押し拡げられる苦しさ、行き止まりに突き当たる衝撃。そして、なにより、自分の身体に他人が入っているという凄まじい異物感そのものに支配されていたのだ。
