「私は生きている!」という叫び

病院では終末期で寝たきりの患者さんがトイレに行きたいと思っても、動くと体力を消耗すると言われておむつにされます。よろよろだけど介助があればなんとか歩ける患者さんでも、万が一転んで骨折などされたら危険だし、病院の責任も問われてしまいます。

どうしてもおむつはイヤだと言うと、ポータブルトイレが準備されます。しかし患者さんの感覚からすれば「あんなのはトイレじゃない」。

『死ぬまで生きる: 穏やかな死に医療はいらない』(著:萬田緑平/河出書房新社)

同室の患者さんがいれば、カーテン越しに音が漏れ、臭いが漏れ、情けなさや申し訳なさ、みじめさがないまぜになっていたたまれない気持ちになるのです。

排泄は人間の尊厳に関わります。自尊心の強い人ほどおむつになってしまったときの精神的打撃は大きく、みるみる生きる気力が衰えていきます。「トイレに行きたい」は、「私は生きている!」という叫びかもしれません。