冷笑ではない、温かいユーモアを

「かっぽうぎ」っていってみて「っぽ」っていう時の顔すごいすてき

かっぽうぎ、という言葉だけでもファニーなのに、「っぽ」に注目する作者の言語センスに舌を巻きます。「っぽ」っという時、人の唇はすぼまり、目は見開きます。この間抜けともいえる顔を「すごいすてき」という作者のファニーな感覚とユーモアのツボには膝を打ちたくなりますね。小事件とも呼べない、一瞬の面白さ。こういったミニマムな感覚を捕まえるのは作者の力量と言っていいでしょう。

巻き上げるパスタにやはりツボがあり間違えると一本はみ出す

これも本当に小さな描写。小さな事件。パスタの巻き上げ方は皆困ることですが、それをツボと呼んだのは見事でしょう。このささやかな目線が実に魅力的です。

殺した虫をティッシュに包み屑かごへ捨てたらちょっと薄暗くなる

このような、生命へのほのかな愛と生活がクロスする歌にも目を惹かれます。好奇心を感じさせながら、やはりそこには対象やものへの愛があります。それが冷笑ではなく、温かいユーモアになっている所以でしょう。

と、お嬢様、戸田様の歌にすっかり惹かれた様子。M−1ほっぽり出して『煮汁』に夢中ではありませんか。そうそう、お笑いもいいですが、やはりお嬢様に召し上がっていただきたいのは短歌でございます。さあ、缶チューハイとポテチをこちらに。ハイ・ティーをご用意いたしますので。え? これはユーモアを楽しむには欠かせない? チューハイとポテチを嗜まれるお嬢様……。わたくしめ目眩がいたしますが、これがおそらく、令和のお嬢様なのでございましょう……!

今回ご紹介した歌人

戸田響子(とだ・きょうこ)
1981年愛知県名古屋市生まれ。未來短歌会彗星集・歌人集団かばんの会に所属。詩形融合作品「煮汁」で第4回詩歌トライアスロン受賞。「拾いながらゆく」で第60回短歌研究新人賞次席。

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