家庭環境と生まれ月は意外と無関係
生まれ月の影響は、本当に子どもの月齢差から生じているのでしょうか。それとも「親が出産月を選んでいるのではないか」という疑念の通り、家庭環境の違いを反映しているだけなのでしょうか。
この点を確かめるため、筆者らの研究チームは埼玉県の人口動態統計を使って詳しい分析を行いました(1)。対象は2000年4月から2011年3月までのすべての出生記録で、ちょうど埼玉学力・学習状況調査を受けた子どもたちが生まれた時期にあたります。
まず確認したのは、そもそも出生の月に偏りがあるかどうかです。各月の日数の違いを調整し、30日あたりの出生割合を比べてみました。
もし親が意図的に4月生まれを狙っているなら、この月の出生割合が明らかに高くなるはずです。ところが実際のグラフ(下図)では、3月と4月はむしろ少なめで、逆に9月がやや多い程度でした。少なくとも「有利な4月を狙う親が多い」という証拠は見つかりません。
<『「早生まれ」は損なのか-生まれ月格差の経済学』より>
(1)Yamaguchi, S., Ito, H., & Nakamuro, M. (2023) “Month-of-Birth Effects on Skills and Skill Formation.” Labour Economics.
