「あの体験」が忘れられないのはなぜ
怒りの副作用として、「相手が言った言葉をいつまでも忘れられず、許せない気持ちが高まる」ということがあると思います。これは脳の仕組みで言うとどのような状況なのでしょうか。見ていきましょう。
カッとしているときには脳の「扁桃体」という部位が活発に働いています。扁桃体は、アーモンド(扁桃)のような形をした、小指の先ほどの大きさの部位で、耳の奥のほうに左右に一つずつあります。
扁桃体は、怒り以外でも、楽しい、うれしいなど「快・不快に関する感情」によって活性化します。そして、記憶の保管庫である海馬のすぐそばにあり、海馬と扁桃体は密接にネットワークを作っています。そのため、嫌なことや怒ったことを強く覚えてしまい、怒りの体験を忘れにくくすることにつながっているのです。
海馬を中心としたネットワークで重要なのが「パペッツ回路」で、海馬や帯状回を通るパペッツ回路は、怒りの体験をするとぐるぐる巡り、その記憶が強く刻まれ、増幅していくのです。
いったん扁桃体が発火してしまうと、怒りはその記憶ごと増幅させていきます。ですから、怒りを「観察」することは、扁桃体の発火を最小限に抑える“初期消火活動”と言い換えることもできます。
