長老がいることによる精神的安定感

私自身、長老がいることによる精神的安定感を実感したことをよく覚えています。

明治大学に教員として赴任したときに、北田先生という長老的な存在の方がいらっしゃいました。旧制高校出身者で、旧制高校の香りを終生まとわれているような方で、そのころの話をよくしてくださいました。

(写真提供:Photo AC)

その旧制高校は非常に一体感があり、哲学的な議論をして、みんなが教養を求めていたそうです。私は旧制高校に対する憧れがありましたので、いつも興味深く聞いていました。

そして、北田先生を中心にして旅行などがよく企画されました。

春先には箱根に行きました。いまも人気の初花という蕎麦屋さんでお酒を飲みながら、みんなでゆるゆると時間を過ごして宿に行き、夜は北田先生が北原白秋の『待ちぼうけ』など古い歌をアカペラで歌ってくれるのです。すると、みんながそれに聴き入って静かに時間を過ごしました。