(写真提供:Photo AC)
令和7年9月に総務省統計局から発表された「統計からみた我が国の高齢者」によると、総人口に占める高齢者の割合は29.4%で、過去最高となったそうです。そんな中で明治大学教授である齋藤孝さんは、「長老と老害は紙一重。年齢を重ねたら、知恵や経験を生かして周囲に貢献する<長老力>を発揮し、老害とならないことが大切」と語ります。そこで今回は齋藤さんの著書『長老力 老害と呼ばれない人になる!』より一部を抜粋し、人生後半の成熟の流儀をお届けします。

精神的安定感をもたらす長老の存在

映画やドラマでも長老が出てくると、心にしみこむような安心感が漂います。

たとえば、寅さん映画『男はつらいよ』で俳優の笠智衆さんが演じているお寺の住職がいます。笠智衆さん自体が長老的であり、急がず、焦らず、たたずむ姿そのものが「間」をつくり、物語に深い呼吸を与えてくれています。

小津安二郎監督の映画『東京物語』などでも、笠智衆さんはまだそれほどの年齢でもないのに長老的な味わいがあり、彼を見ていると落ち着くところがありました。笠智衆さんを知らない世代の方は、寅さんシリーズを見ていただくとわかると思います。

左卜全さんという俳優もいました。1970年に子どもたちと歌った『老人と子供のポルカ』が大ヒットし、ちょっとユーモアセンスのあるご老人でした。

ユーモアセンスまであると、長老としてはかなりいい存在になります。

知恵を授けるだけでなく、他者を笑わせるという、周りを癒やしてほぐすことも、長老に期待される大事な役割の一つだといえます。また、そこにはお年寄り独特のユーモアの良さがあります。