「師匠」と呼ぶことになった
で、ある日、なんと三平から「一度遊びにいらっしゃい」というハガキが下宿に届いたの。そりゃあ、もう、嬉しいに決まってるわよ。「やっと弟子になれる」って。ところが、指定された日に根岸の家を訪ねたら、三平はいなくて、玄関に出てきたのはおかみさんの海老名香葉子さん。でも、僕が来ることを知っていて、「お父さん、あんたはいいって言ってたわよ」と言ってくれたの。
そして、「今、お父さん、ニッポン放送に行ってるから顔を出して」って言われたの。「はい、行ってきます」とそのまま駆け出した。浪人時代、主なテレビ局とラジオ局はみーんな勝手に回って、どこにあるか知っていたもの。
それで有楽町のニッポン放送の隣の東京ヴィデオ・ホールに行ったら三平がいて、「おお、君か。書いたの読んだよ」と言ってくれた。そりゃ嬉しいわよ。 えっ? どんなコントかって? その年の東京オリンピックにひっかけて、「紅顔の美少年」ならぬ「砲丸の美少年」とか。「邪魔だね。お前、邪魔。はい、ジャマイカです」とか。アハハ、くだらないねぇ(笑い)。
でも、三平が「面白いね」って言ってくれて、何よりも嬉しかった。僕にとってはとても大きな出来事で、その日から僕は、「三平」ではなく「師匠」と呼ぶことになったんですから。
