余談だけど

余談よ、余談だけど、僕は子供の頃から映画好きで、ずいぶん洋画を見ているのね。パー子は子供の頃から日本舞踊や謡曲の習い事をしてきたから、映画といえば邦画ばかり見ていたの。それが僕と交際するようになって、デートといえば映画館。それですっかり洋画好きになったのよ。で、洋服とどう話がつながるかと思うでしょ。どんな関係があるかって、それがあなた、大ありなの。

洋画に出てくる女優さんの衣装はすごく華やかでしょ。たとえばエリザベス・テーラーとかオードリー・ヘップバーンとか。でも、どんなに派手な衣装を着ても品がある。それでパー子は「これだ!」って思ったんだって。

『ヨレヨレ人生漫談』(著:林家ペー/小学館)

そんなわけで、パー子は衣装には並々ならぬこだわりがあったんだけど、僕は師匠の弟子の感覚で、きちんと見えていればいいだろうって。

余談だけど、そういう僕の素人くさい感覚をパー子は怒るのよ。「お兄ちゃんの考えていることはどこまでいっても素人なのよ」って。「芸人なら芸人らしくしなくちゃダメよ」って、そういう時のパー子の手厳しいことといったら。

ついでに僕の奥さん自慢をすると、パー子はものすごく引っ込み思案で人見知りで、特に火事からこっちは外に出たがらなかったんだけど、いったん人前に出るとなると、無類の愛想のよさを発揮するの。道を歩いている時に握手を求められたりすると、二人とも基本的にオッケーだけど、タイミングってあるじゃない。もういいだろう、とかね。でも僕が切り上げようとしても、パー子はまだファンサービスをしている。そんな時はイライラすると同時にえらいなぁと思うわよね。