うちに着いたら消防車だらけ

で、うちに着いたら消防車だらけ。あとから聞いたら29台集まったそうです。僕らが住んでいた部屋を見上げると黒い煙がもうもうと上がっていて、パー子の顔を見て、それから記憶がないの。マンションの管理会社の人から何か言われたらしいんだけど、覚えていない。パー子もパニックを起こして、猫を助けてと言っていたけど、もう家には近づけませんでした。

その夜は、パー子と着の身着のままビジネスホテルに泊まってね。翌朝、水浸しの家に戻って、とりあえず着られるピンクの衣装を探したの。

『ヨレヨレ人生漫談』(著:林家ペー/小学館)

翌々日の21日から10日間、浅草演芸ホールに出演が決まっていて、穴をあけて芸人仲間に迷惑はかけられないと、そんなことを思ったんだわね。この間、僕の携帯は鳴りっぱなしよ。だけど出られませんでした。

21日、浅草演芸ホールの出番を終えたあと、楽屋でマスコミの取材を受けて、それから、僕にとって実家同然の林家の本家に足が向いた。そこで正蔵さんの奥さんの海老名有希子さんから「迷惑をかけたマンションのかたがたにお詫びに行ったの? 行ってない? ダメじゃないの!」と叱られたのよ。あわててマンションに戻って、住人の皆さんに頭を下げました。本来ならまっ先にしなくちゃならないことなのに、人から言われるまで気づかないって、本当に自分が情けないですよ。そうしている間にも取材陣が押し寄せたりして、住人のかたがたには本当に迷惑をおかけしました。