火災の原因

さらに、僕らが火災保険に加入していなかったことは、火事の直後、管理会社に問われてわかったけれど、それがどれほど重大なことか、愚かな僕はその時、理解していなかった。僕とパー子はいざという時のために小さな生命保険には入っているけど、火災保険はまったく意識になかったの。そうしたら有希子さんは、僕たちが住む家を探すとすぐに、布団から着る服、家財道具一式まで届けてくれました。いやぁ、ものすごくありがたかったです。

でも、日が経つにつれてわかってきたこともあるの。広さ約38平方メートルの僕らの住まいは、元はといえばパー子のお兄さんの持ち物で、僕らは家賃を払って30年近く住んでいたの。ところがお兄さんが3年前に急死して、パー子が相続した。ちゃんとモノのわかった人なら、この時が火災保険に入るタイミングだったと言うんだけど、パー子はもちろん、僕も住み慣れた部屋すぎちゃって、名義が変わったことすらピンと来なかった。

(左)林家ペー (右)林家パー子
(C)五十嵐美弥/小学館

ものすごく高い家賃なら何か考えたかもしれないけど、お兄さんに払っていたのは月に8万5000円。その引き落としがなくなったのは助かったけど、何か月か経つと「ああ、そう?」って、このあたりがなんというか僕のいい加減なところでね。本当に「非常識」と言われても仕方がない。あと、火災の原因は、赤羽消防署と赤羽警察署の調べで、古いコンセントや電気コードの漏電やショートだったこともわかりました。おそらくかなり古いコンセントやコードを使っていたのよね。

火事直後はパー子にもかわいそうなことをしてね。

パー子が毎日手を合わせていた仏壇が燃え、かわいがっていた猫4匹を助けられなかったことのショックよね、元から症状があった難聴を火事後に悪化させたの。それに気づかずにね、僕が寄席に行っている間、近くの親戚の家に身を寄せたらと言ったら「うん」とうなずいた。いやいや、僕の思い込みだったのかもね。